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Yes, we can

このブログでもさんざん話題にさせていただいてきた米大統領選挙が終幕。結果、バラク・オバマ氏が圧勝で第44代アメリカ大統領になることが決定!!

きのうは勝利演説の行われたシカゴや、アメリカ国内だけでなく世界中が歓喜に包まれた日になったことは間違いない。父親の出身地であるケニアは、翌日を国民の休日にしちゃったほどの熱狂らしい。こちら中国の清華大学公共管理学院においても、なぜかアメリカ国籍をもたない方々が昨夜大規模に祝杯をあげたらしく、今日は個人的な休日を設けてしまった生徒たちの空席が目につきましたw。このあたり、僕は大統領選を身近なものとして本気で語り、精神的アタッチメントを寄せてきた国際関係、公共政策プログラムの学生たちの愛嬌がよくあらわれていると思いますw。

新聞だけじゃなく、各種雑誌やいろんなブログに目を通されている方々は、オバマ政権の当面の課題や、まさにアメリカ大統領選の歴史にはっきりと刻まれるであろう2年間の長き戦いの経過について様々な分析を今後しばらくの間目にすることになると思います。僕もその辺は今後きっちり追っていきたいです。ということで今回は、気になったところをちょっとだけ。

いまさらとりあげるのも気がひけますが、やっぱりオバマ氏の勝利を形作ったと思われる経歴について。ケニア人の父とアメリカ人の母を持ち、ハワイで生まれ育ったこと、インドネシアで初等教育を受けたことなどなどいろいろ話題性はあるんですが、僕が注目したいのは職歴。彼が「民衆の感覚が分からないエリート」というレッテルをマケイン陣営から張られてきたことを思い出すと不思議な気分になる。

コロンビア大卒(政治学、国際関係学)→
コンサルティング会社等で短期間勤務→
高給を捨て、シカゴの南側にある全米有数の犯罪地区となっている黒人居住区を救うためにソーシャルワーカーに転身→
4年後、地域の貧困を撲滅することは叶わず、社会に根本的な、大きな変化を起こすためにハーバード・ロースクールへ入学、JD取得→
連邦裁判所での要職の誘いを断り、変革を起こすため再びシカゴへ。シカゴ大教授として教鞭をとる傍ら、弁護士事務所に勤務。貧困撲滅の草の根活動に従事し、弁護士として頭角を現す。
→政界へ

出身大学などの名前だけで見る限り、確かにエリート色はないとは言い切れないけれど、彼が歩んできた道はアメリカにおける一般的なエリートの図からも程遠いのではないかと思う。彼の職歴に見られるのは、一貫した貧困問題に対する問題意識、ローカル性と現場主義。低中所得層を優遇する税制や皆保険の公約は、こういう確固とした経験的基盤を持ってるんだね。いまさら僕が指摘するまでもないけど。

強引に日本に当てはめるとしたら、早稲田大学政治学部を卒業したあと、東北・仙台あたりの貧困対策をしているNPOで働いて、その後東京大学ロースクールを経て弁護士試験に合格。また仙台に戻って東北大学で講師として働きながら、弁護士として地域の貧困問題に積極的に取り組みつつ、衆議院選挙に出馬、当選、その後首相へ...みたいな流れになるのかなw。元NPO職員とか、アカデミアとして首相に上り詰めるキャリアパスなんて日本では想像もつかないだろうな。人種格差とか、ゲットーとかが社会問題として歴然と存在してきたアメリカの社会的背景とか政治制度の大きな違いを無視してるけど。

でも、日本において首相になった、あるいはなれる可能性があるような有力政治家たちって、経歴が一般人にとって一切リアルではないと思いませんか。ウィキペディアで何人か見てみるとほんとに実感できるけど、そもそも多くが世襲政治家だし、生まれたときから政治家への道がレールとしてしっかり敷かれているようで、なんだか政界を志す生々しい原体験とか問題意識みたいなものが一切見えてこないです。たとえば麻生さん、射撃家ってなんですか。このへんも終身雇用的、硬直的な日本の人生観の端っこを象徴しているものなのかもしれません。

記録的な投票率の高さ、インターネットを通じてお金を持たない若者や低所得者たちから少しずつ集まって過去最高額となったオバマ陣営の活動資金...オバマ氏の勝利が、この大統領選がもたらしたものは、何より多くのアメリカ人に自らリーダーを選ぶことを促し、実際に選ばせたことだと思う。この大統領選がいかにアメリカ人たちにとって重大だったか、そして身近であったかを考えると、僕はYes, we canっていう言葉にあまりに素直に鳥肌を立ててしまう。自分たちは、自らそう望めば、変わることができる。社会を自らが望む方向に変えていくことができる。こんな感覚を日本に生きるどれほどの人が今持っているんだろうか。この言葉をリアルに受け止められる人がどれだけいるんだろうか。

国をマクロに、そして擬人的に見るならば、今ほどアメリカが弱っている時期はないと思う。アメリカの民主主義はイラク問題で国際社会における権威を失墜し、世界最強と言われた金融機関が破綻と救済の波にのまれて、黄金時代の象徴であるGMは合併に動き、市場原理重視の自由主義経済は懐疑の目で見られている。だけど、大統領選はある側面でアメリカの本当の強さをあらわにしたと思う。人々の反省と意志によって推進されていく、あくなき変革。歴史的な逆風の中で、この国の唯一至高の価値である民主主義が息を吹き返しはじめているのだと信じたい。

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コメント

こっちでは彼の『Yes, we can』がどこか小ばかにされて扱われているような気がします。そういう雰囲気を皆で共有している感じってほんっとかっこ悪いと思うんだけど社会人やってるとすっごく感じるんだよね。
平凡な人生でいいと思うしそれを受け入れて頑張っている人には多大な尊敬を感じる昨今だけど、やっぱりこういう言葉に素直に持っていかれない人にはもっていかれませんw

ちょっとご無沙汰してたけどひとまずボストンお疲れさま。国際電話も全然オーケイなんでタイミングを見計らって遠慮なくしてくれよ。
俺もこないだsharkさんと飲んで自分のキャリアについていろいろ考えたりしてるから。

自分を強引にオバマプランに当てはめると俺はW経済卒→就職→留学→経済学修士→民間シンクタンクに就職→コンサル設立→竹中ポスト、だなw
同時に週末はパブでの演奏と釣り。一日6時間の睡眠を確保したいっす。
無理かなw?

Yes, we can.

投稿: J | 2008年11月 7日 (金) 00時53分

>でも、日本において首相になった、あるいはなれる可能性があるような有力政治家たちって、経歴が一般人にとって一切リアルではないと思いませんか。

そのとおりですよね。そのとおりです。麻生なんてスネオにしか見えない。確かにアメリカもおバカな二世が長いことホワイトハウスでテキサス州知事をやっていたけど、そのあいだに出てきたゴアだったりヒラリーだったり、なんていうか気合いが違うよね。民主党。どこかの民主党とは大違いだぜ。逆にペイリンとかは日本でも出てきそうだよね、どうでもいいけどさ。

自分が原風景ってものに子供のころから憧れてきたからかもしれないし、単に強烈な志を持ってる人に惹かれるだけなのか知らないけれど、とにかく''Yes, we can''って言葉は自分とは何の因果もないにも関わらず、涙がでそうになります。絶対ホンモノでしょー!っておれの軽さがいやだけど、ほんとオバマさんには期待しちゃいますし、勇気づけられます。うん。

Yes, we can.

投稿: shark | 2008年11月 8日 (土) 07時20分

>でも、日本において首相になった、あるいはなれる可能性があるような有力政治家たちって、経歴が一般人にとって一切リアルではないと思いませんか。

まあ、sharkとおなじような内容になるけど、ほんとそうだよね。オバマも47歳で日本の政治を考えたらありえない若さだよね。これぐらいの大胆さがないと大きくことは動かせないってみんながわかってて、しかもそれが実現するというのがうらやましいね。
日本の政治家では田中角栄とか、高度経済成長期の金銭的に日本が豊かになる過程と、彼のサクセスストーリーとが重なってやっぱりすごく人気だったんだろうなと思う。そういう観点から見ると今日本では「何がリアルなのか」っていうのが結構わかりづらくなっている気がするなー。

Yes, we can.っていいよね。こういう言葉の力はやっぱり政治をまさに象徴してると思うし、人は理屈や理論よりも、心情や共感で動くんだなあって思う。

投稿: ここいば | 2008年11月 8日 (土) 18時23分

みなさんコメントありがとう!

J>
キャリアを考えていたからこそ、こうやってオバマの職歴持ち出してみたりしたんだけどねw。でも、昨日とある企業からメールをいただいて、未来の可能性は少しだけ幅が広くなったから、今はひとまず大丈夫。まだ時間はあるから、ゆっくり余裕を持って冷静な頭でいろいろ考えてみるよ。ひとまずは遅れている勉強に集中しつつ。
経済学なら博士取得考えてもいいと思うよ!海外でゆっくりできるしw。それに”知識人”として欧米の人たちとわたり合おうとしたら博士は必須な気がするわ。おれも博士取得の選択肢は将来的に残しておきたいな。たぶん政治学になると思うけど。睡眠時間6時間は最低確保しようぜ!長く若く生きるためにw。

shark>
原体験とか原風景みたいなのってまさに就職活動の自己分析でそれなりに探らなきゃいけないものなんだろうし、やっぱり誰にとってもキャリア形成の軸になってくべきものなんだろうね。おれの場合やっぱり大きいのは音楽とこの1年半だろうなw。なんか最近自伝に興味があって、オバマが90年代に出したやつが面白いらしいから、読んでみたいと思ってるよ。
http://www.amazon.co.jp/Dreams-My-Father-Story-Inheritance/dp/1400082773/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=english-books&qid=1226163047&sr=1-1

あと、ベタンクールとか。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%A7%E3%82%82%E7%A7%81%E3%81%AF%E8%85%90%E6%95%97%E3%81%A8%E9%97%98%E3%81%86-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89-%E3%83%99%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/479421135X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1226163129&sr=1-1

小説もそうだけど、やっぱlifeを感じられるものに最近惹かれてるなぁ。
そうそう、オバマは暗殺のリスクを案じる声がさらに強くなってる気がするから、ほんとにひとまず一期四年をまず生き延びてくれることを願います。
それにしても、ペイリンが日本でも出てきそうっていうのなんとなく分かるわw。

ここいば>
おれも今回書いてて角栄のこと考えたw!小学校のときの先生が角栄への尊敬をあらわにしつつやたら話してたのをよく覚えてるけど、やっぱりリーダーとして力をふるうためには人生からかいま見える生の人間としてのパワーみたいなのがほんとに大事なんだろうね。あと、おれ見てないから知らないんだけど、ドラマの24の1stシーズンって確か大統領黒人なんだよね。時代性っていうか、大きな流れを自然とバックにつけてるようなイメージがある人って強いよなぁ。
そうそう、やっぱり最近いろいろ自分が何したいのか考えてみて、イメージ先行だけど報道の仕事の現場性とか生々しさみたいなのはやっぱりいいなーって思ったよ。今のところそちらに進む予定はないけどさ。ほんとがんばってね!

投稿: qinmu | 2008年11月 9日 (日) 02時13分

ベタンクールって人のこと知らなかったけど、これはぜひ自伝を読んでみたいな。いま自分があまりに余裕がない状況だからこそ、こういう人たちがあまりにも眩しく見えてしまうな。こんなに余裕がない奴に何ができるんだろうってむなしくなるもの。

原風景の話に戻ると、やっぱりおれも演劇とアメリカでの二年間ってことになるんだけど、そこから先はまだ何も見えてないのかもな、現時点では。

とにかく論文を終わらせたいです。オバマなんかはこういう考え方はしないんだろうけどさ。おれはやっぱり「とにかく」終わらせたいよ。笑 終わるかな・・・。Yes, we can.

投稿: shark | 2008年11月 9日 (日) 06時48分

おれは自分が社会ってやつに塗れたいからこそ、強い信念を持って人生を生きてきてる人の話を今のうちに読んでおきたいっていう感じかなぁ。余裕がなくなっていろんなことが見えなくなったときに何か大事なものがちゃんと見えるようにさー。すごいまともな考え方だと自分ながら感心するけどw。
おれは修論ほどの巨大なライティングには立ち向かったことはないけど、その厳しさは想像できるよ。吐きそうw。でも終わったときほんと気持ちいいんだろうなーって思って、うらやましい気分にもなるけど。とにかくいろんなことに刺激をもらいつつがんばろう。間違いなくいい形で終わるからさ!

投稿: qinmu | 2008年11月10日 (月) 01時22分

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