Catch up!
中国語の授業がはじまり、いよいよ本格始動となった今週も終わり。はっきりしたのは、外国語学習において、4年間のブラ ンクというのは圧倒的に大きいということ。英語を学んできてそれは知っていたはずだけど語学って、スクラッチDJを志す若者が授業中も机の下でミキサー用 のチャンネルを弄び続けるみたいなノリで、ずっと触ってなきゃダメだ。大学まで行ったらなんだかんだ10年くらい学ぶことになる英語だって大人はみんな忘れてる。そうであるなら、わずか3年間、多かったときで週4時間程度の勉強しかしなかった中国語をこの4年で僕が忘れていないわけがない。ひとまず冷静に見て、中級のクラス内で一番 しゃべれない人という状況。さらに、大学院の授業と重なってしまったせいで語学の授業は週16時間しか受けられなさそうなので、1月までにそれなりにしゃべることができるようになるためには全然足らないのだろうという気がしている。
事実として老師からは一つ下のレベルのクラスをのぞいてみたらとやんわりお勧めされた。僕はもともと下から三番目のクラスにいるのにだ!そのお勧めのセリフすらもよく分らなくて隣の人に意味を教えてもらった。もちろんそれに対して焦りはあるのだけど、しゃべれないっていうある意味屈辱的な状況に対して冷静に腰を据えるだけの免疫ができている自分に気づいてびっくりしたところもある。大学院で一つ上の学年にいた友達が、シラキュースの大学院生活で得たものは何よりも精神的タフネスだって言っていた気がするけど、たぶん間違いない。何かが自分だけできない状況って恥ずかしいとも思うし、それが露になる可能性を考えると授業中に緊張もするけど、その環境が自分にとって良いと思えるのなら退出する必要は全くないし普通にしてればいいっていう少し図太い考え方が身についた気がする。そういう場面に限って空気を読まないすべを少しだけ覚えたというか。でも開き直っているわけでは決してなくて、スケジュールがタイトな中で優先順位の制約もあるけど、腰を据えてがんばろうっていう気でいます。
ところで、やっぱりキャッチアップできないレベルに世界情勢も変化してきている兆しがある。今週の崔之元教授の授業では、現在と過去の金融市場の動揺 とその対応から、"Socialism with Chinese characteristics(中国的特色をもった社会主義)"あるいはSocialist Market Economyとは一体何なのかっていうことについてちょっと白熱した議論があった。
そもそもSocialism with Chinese characteristicsという言葉は1970年代末以降、数々の自由化路線の改革を実行するためにもともと鄧小平によって使われた言葉である。中国は社会主義を放棄することはないけど、それを中国独自のものにする=社会主義市場経済を目指すというレトリック。これによって、鄧小平は共産党の一党体制の正当性を減ずることなく、改革を実行することができた。現在ももちろん中国は社会主義を奉じている。しかし実際には彼らがどんどん資本主義市場経済に近付いてきたことは間違いないので、現在Socialism with Chinese characteristicsという言葉は資本主義市場経済化していく中国を揶揄するために西側の研究者や中国人の間で用いられているそうだ。中国的特色というのは、この場合資本主義のことを指している。
ただし、"Capitalism with Chinese characteristics"っていう見方をすれば中国的特色というのは実際に存在している。その特色というのは、現在株式市場で公開され取引できるようになった中国企業の株は、各々の企業の全株式の一部に過ぎず、中国政府がそれぞれの企業の株を相当程度保有していること、つまり中国の場合、資本主義国と比べて国家が経済においてより大きなシェアを占めていること。
その事実は、米国を現在襲っている金融危機とその対応を考える上で示唆に富んでいる。なぜかといえば、議員や新聞や経済学者によってさんざん議論されているこの危機への対応は、民間企業(金融機関)への"公的資金注入"による救済が中心であり、国が企業の資産を購入するということは、程度の問題こそあれ"国有化"であるから。つまり、金融危機に対応するために米国がとっている路線は、国家が経済においてより大きなシェアを占めている中国のSocial Market Economyモデルに近付くことに他ならない。Financial TimesのMartin Wolfなんかは、最近のコラムでファニーメイとフレディマックの国有化を"nationalisation with US characteristics"と揶揄している。もっと過激なのが、同じくFinancial Timesブログの以下の記事。
Willem Buiter, "The end of American capitalism as we knew it"
http://blogs.ft.com/maverecon/2008/09/the-end-of-american-capitalism-as-we-knew-it/
AIGが救済される理由、それは影響を考慮したら倒産するにはあまりにも巨大すぎるから。なんせ世界最大の保険会社である。でも、未来に同じようなずさんなリスク管理をして破たんする金融機関が出るのはほっといたらほぼ間違いない。良いときにはたっぷり私的な利益を稼いで、悪いときには税金によって救済される。つまり、良い時に余剰利益を得ている人たちと、倒産のリスクを負っている人が別々になっているっていう問題がここで発生している。それならなぜ最初から彼らをそんな活動に従事させるのか?預金委託機関は全部国有化すべきじゃないのか?って記事では述べられている。それも、自由市場とGlobalizationを奉じ、世界の金融関係者に支持されているFinancial Timesのブログに。
進行中の"Financial Armageddon"が本当に米国型資本主義が一つの理想型とされた世界の終わり、一つのパラダイムの終わりを意味するのかはわからない。でも、大統領選挙を約1か月後に控えてオバマ支持率が再度上昇していることを考慮したら、金融危機と政権交代がいっしょくたになって米国の"これまでの在り方"に終止符が打たれる可能性は高くなっているんじゃないかと思う。
一方世界経済、そして米国政治の一連の流れに比べたら、日本の麻生総理の就任はとっても小さなイベントにすぎないんだろう。でも、おそらく幸運なことに、総選挙を控えた今、日本は今後の方向性を決定する分岐点に立っている。少なくとも、日本の政治家は目下の政権死守あるいは奪取のためだけに、近視眼的な利害調整に徹していていいわけがない。総選挙では10年、20年先のことくらいを考えて、一貫性のある政策を競ってほしいです。
なんだかどこかの社説みたいな締め方だね、これw。







最近のコメント